1: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:47:19.41 ID:+9oNNnjB0
プロ野球の歴代の名監督を一覧にして眺めたとき、三つの時代があることに気付く。
すなわち、『心の時代』『頭の時代』『金の時代』である。



2: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:47:39.28 ID:+9oNNnjB0
プロ野球草創期には――今の野球ファンには信じ難いことかも知れないが――全ての選手が真面目に練習して真面目に試合に臨んでいた訳ではない。
逆に言えば、選手が一丸となって真剣に野球に取り組むだけで、他のチームに差を付けることができたのだ。
だから、この時代には親分肌で情に訴えて選手を厳しく指導する監督が名監督と呼ばれた。
この『心の時代』を代表する名監督として私が南海に入団した当時の監督である鶴岡一人監督について記そう。
失礼を承知で本音を述べるが、私は鶴岡監督の采配に感服したことなど一度もなく、「どうしてこの人が名監督と呼ばれているんだろう?」と常々疑問に思っていた。
しかし、今思い返すとあれほど人心掌握に長けた人はいなかった。
実は、鶴岡監督に褒められたことが私は生涯で二回しかない。
一回目はプロ三年目に「キャンプでの収穫は野村に使える目処が立ったこと」と新聞のインタビューに答えてくれたこと、二回目はプロ四年目に球場の廊下で「ようやったなぁ」と本塁打王獲得を祝福してくれたことだ。
他人が聞いたらそんなことかと思うようなことかも知れないが、滅多に褒めてくれない監督だけに私にとってこれほど励みになることなど他になかった。
私が選手として、あるいは監督としてこれまで野球に打ち込んで来れたのは、もう一度鶴岡監督に褒められたいという思いと無縁ではない。
鶴岡監督ら『心の時代』の名監督たちは、私を含む選手の意識を変革させ、プロ野球を真のスポーツへと成長させたのだ。

3: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:48:00.14 ID:+9oNNnjB0
そして、プロ野球選手は子供たちの憧れとなり、プロになったからには真面目に野球に取り組むのが当たり前となる。
そうなると次に訪れるのは『頭の時代』だ。
真剣に練習しているからみんなそれなりの技術がある。
その中で勝負を分けるのは、データを集め、自軍の戦力をやりくりし、相手の裏をかき、勝利をかすめ取る工夫である。
僭越ながらこの私もこの時代の代表格の一人に挙げていただけるのではないかと自負している。
しかし、実のところ野村野球の中で私が一から考案した戦術はそれほど多くない。
南海監督時代にヘッドコーチを任せたドン・ブレイザーからメジャーリーグの最先端の野球を教わったり、巨人の監督として既に実績を残していた川上哲治さんの采配を真似したり、そうしてあらゆる野球人の知恵を貧欲に学び、取り込んできたことが私の真価だと考えている。
私は誰よりもこの野球というスポーツを「勉強」したのだ。
もし、プロ野球の技術革新の歴史を一冊に記した本が出版されるならば、著者は私以外にいないだろう。

4: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:48:20.00 ID:+9oNNnjB0
そして私が掲げた「ID野球」はもはや球界の常識となった。
今やどの球団でもスコアラーがデータを集め、監督はそれを見て采配を考えている。
コンピューターが普及した現代では、私の時代とは比べ物にならないほどのデータが揃っているのだろう。
この現在の野球を一言で言うならば『金の時代』である。
真面目に練習するのは当たり前、データを使うのも当たり前、そうなると金で選手を集める以外に他と差を付けることなどなかなかできないのだ。
『金の時代』の名監督と言えば星野仙一を置いて他にあるまい。
私は常々「星野は名監督ではない。現代の名監督は落合」と言い続けてきた。
それは『頭の時代』の監督観に囚われていたからだ。
しかし、今改めてプロ野球の歴史を眺めたとき、新たな時代を作った名監督として星野を位置付けることに対して、何ら疑問などないのである。
私は阪神監督を辞めるとき、もうこれで最後だから言いたいことをぶちまけてやろうと思い、久万オーナーに次のように進言した。
「阪神が弱いのは久万オーナー、あなたの責任ですよ。監督を変えてもチームは強くなりません。最低限必要な補強をしてください。」
そして後任に星野を推薦した。
星野ならこのオーナーを説得し、必要な補強を実現できると思ったのだ。
そして、星野は周知の通り、私の想像を遥かに超える結果を残した。
ジョージ・アリアス、片岡篤史、伊良部秀輝、そして金本知憲。
次々と大物選手の補強に成功し、そして阪神は強豪チームへと生まれ変わった。
「星野は金で勝利を買っているだけだ。本物の名監督はノムさん」
と私を擁護してくれるファンもいる。
それはそれで嬉しいのだが、しかし今一度考えてみて欲しい。
金で勝利を買うのは悪なのか。
確かに私自身も金満チームを頭脳で倒すことこそが野球の醍醐味だと思っていたし、その思いは今も変わらない。
しかし、生活のために金を貰って野球をするプロならば、金など無縁という綺麗事では片付けられない。
各チームが弱点を補う適材適所の補強をし、より高いレベルの野球を見せることこそが仕事としてのプロ野球のあるべき姿だ。
戦力補強という投資によって質の高い野球をファンに提供した星野の姿勢はプロとして大いに評価されなければならない。
戦力均衡のためにプロ野球界全体で補強に関するルールを整備することにはもちろん大賛成だ。
しかし、各球団に求められているのは、そのルール内で最も質の高い野球をファンに提供するにはどうしたらいいかを考えることである。
星野は誰よりもそのことを理解していた。

5: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:48:30.00 ID:+9oNNnjB0
それでは、戦力均衡のためのルールが整備され、各球団がしっかりと必要な補強を行うようになった未来の野球では、どんな名監督が生まれるのだろうか。
残念ながら答えは私にも分からない。
心だけで勝てる時代も頭だけで勝てる時代も金だけで勝てる時代ももうやって来ない、それだけははっきりとしている。
もし、私が歩んだ道程が、どんな形であれ次の時代へと続くものならば、それは望外の喜びだ。
わがままついでに最後にもう一つだけ夢を語るならば、私の教え子同士の日本シリーズを観せて欲しいと思っている。
私が最も期待を寄せているのは、稲葉篤紀と宮本慎也である。
きっと彼らは野村野球を完全に体得した上で、稲葉野球、宮本野球として次の時代の名監督像を見せてくれるはずだ。
稲葉日本ハムと宮本ヤクルトの日本シリーズを観る日まで、何とか生きていられたら……。
それが私の最後の夢だ。

6: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:48:52.94 ID:ynDSmEJSp
ふむ

7: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:48:56.43 ID:+qN7rB9td
頭の時代が一番面白いやろ

21: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:53:53.32 ID:OFDfBWdJa
>>7
ドラクエは鋼の剣を買うまでが面白いに似たところがあるな

8: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:49:22.43 ID:cTERj5I/d
今はデータ重視のセイバーメトリクスやから頭の時代では?

9: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:50:22.59 ID:ULIvrMJ7d
>>8
アメリカのセイバーメトリクスは成績を金に換算するのが定番なんだよなぁ
WARいくつだから何ドル使って獲得するというね

12: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:51:14.83 ID:mtfAE5xcp
>>8
それに見合った選手を集める金の時代とも言えるわな

10: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:50:28.34 ID:+g0eCDeX0
金(本)の時代

13: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:51:36.50 ID:9oz4SnOpd
ノムは自分が間違っていたりした時に考えを改める柔軟性を持っているのが老害化しなかった原因
ちゃんと現代の野球を評価してるし

18: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:53:06.38 ID:jbJjcE3w0
>>13
本読むとわかるけど半端じゃない努力家だし研究家だわ
すごすぎ

16: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:52:38.31 ID:LaXDSGwPd
ノムさん死なないでくれ
稲葉はジャパンの監督になったが宮本はまだ監督になってないぞ

19: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:53:34.54 ID:UiSL5QNnd
>>16
稲葉ジャパンが万が一優勝でもしたら満足して逝きそう
でも野村のために稲葉の活躍する姿は見せてほしい

17: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:52:51.75 ID:xteuO++u0
稲葉ハムって誕生しそうにないよな

22: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:54:13.59 ID:o1sbgIlBd
野村が弟子やと思ってるのは古田やなくて稲葉と宮本なんやね

23: 風吹けば名無し 2018/01/27(土) 01:54:16.54 ID:nLC6vHbVa
やっぱノムさんはすごいわ 当人の監督力以上に人間として色々悟りすぎや