阪神のドラフト６位・中野拓夢内野手（２４）＝三菱自動車岡崎＝が甲子園での全体練習に参加して屋外フリー打撃などで調整した。沖縄・宜野座キャンプで途中出場が続くなかでの猛アピールが実って“１次振り分け”を通過。矢野燿大監督（５２）の「まだまだ見たい」という思いに応え、３月のオープン戦では走攻守でさらに評価を上げていく。

　開幕が近づくにつれてふるいの目は細かくなっていく。それでも、中野が少ないチャンスをいかして指揮官にもっと見たいと思わせた。必死のアピールで“１次振り分け”を通過し、甲子園の全体練習で躍動した。

　「高校生以来の甲子園で、プロに入ってからは雰囲気が全然違いました。今から本拠地としてプレーするということで、ワクワクした気持ちで練習に入りました」

　日大山形高２年夏に甲子園に出場。それでも、タテジマの一員としては他のルーキーと同様に初見参だ。二塁でシートノックに参加し、屋外フリー打撃もこなして精力的に汗を流した。

　２月は全１１試合に出場したが、紅白戦を除けばスタメン出場は１試合のみ。そのなかで残した打率・３６８（１９打数７安打）という数字に、執念がにじむ。この日、同じく二遊間を争う小幡が２軍へ行った。矢野監督は「まだ中野の全部が見えたわけじゃない。そういう意味では走攻守に関してまだまだ見たい。きっかけをつかめば、スタメンで出るくらいの力を持っている」と改めて高い期待を込めた。

　今季の二遊間は実績のある糸原、木浪に加え、巨人から新加入した山本や若手の小幡、定位置奪回を狙う北條らがひしめく。中野自身はキャンプ中の守備で安定感を欠き「守備の選手だと思っているので、ちょっとキャンプで課題が出てしまった。なんとか守備、足でアピールできるようにやっていきたい」とつかんだチャンスに目をギラつかせる。川相臨時コーチからたたき込まれた指導も復習し、首脳陣の信頼を高めていくつもりだ。

　「まだまだ実力が足りないことは自分でも分かっています。それでも１軍に呼んでいただいたので、首脳陣にアピールできるように、この１カ月はやっていきたい」

　２６日のヤクルト戦（神宮）へ向け、開幕スタメンを目指す戦いは第２ラウンドへ突入。ライバルを押しのけ、定位置をつかむ。（新里公章）

■中野　拓夢（なかの・たくむ）　１９９６（平成８）年６月２８日生まれ、２４歳。山形県出身。小３で軟式野球を始める。中学時代は山形シニアでプレー。日大山形高２年夏の甲子園で二塁手として県勢初の４強入りに貢献。東北福祉大では１年春から遊撃手のレギュラー。４年春の全日本大学選手権で優勝に貢献。三菱自動車岡崎から２１年ドラフト６位で阪神入団。年俸８００万円。右投げ左打ち。１７１センチ、６９キロ。背番号「５１」

3/4(木) 5:00
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